たぬきの木屑ブログ

なんでも書くたぬ

お題の募集

たぬきの木屑ブログは、皆様からお題を募って書かれています。

たぬきに書いて欲しいことをこちらのフォームから投げ込んでいただくとありがたいです。よろしくお願いいたします。


https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSf5DqxayPVDNkidZHKvNOt6IrpMptPCyt_SPw7kz0ggYCaRFQ/viewform?fbzx=3220440679032368000

その他についてその3(いちご大福、ult、骨格、クレーター)

・たべかけのいちご大福について
 いちご大福ってさ、こう、なんかシュワっとする食べ物じゃないですか。いやシュワっとするでしょいちご大福? なんか、夕方くらいに食べるとシュワっとするじゃん。シュワっと。するんだよシュワっと。あれね、あれはイチゴの表面に付いてる酵母が、あんこを分解して炭酸ガスを作ってるからシュワっとするんだって。つまりさ、いちご大福って発酵食品なんだよ!
 で、たべかけってことは口の中の菌が繁殖しちゃって、シュワっとしないんですよ。悲しいですね。シュワっとしないいちご大福とか何のために食べてるかわからないじゃないですか。とても悲しいですね。いちご大福はシュワっとする。たべかけのいちご大福はシュワっとしないので、悲しい。今日はこの二つを覚えて帰っていただきたい。



・遅刻しないために校門に向かって走っていたら、交差点に突っ込んできたノクターンのUltに衝突してノクターンと身体が入れ替わってしまった女子高生について
 あー、あー、これね。
 あの、木屑を恵んでもらってる側にもかかわらず、結構こういうものはおそらく未来に役立つだろうからあえて言ってしまうんですけど、こういう素材でないものを持ち込まれると非常に困ってしまうんですよね。素材じゃないし。素材を持ち込んでください! 素材の味を生かした料理をします! って言ってる店にカレーライス持ち込むのはダメでしょって話なんですけど。つまり、面白いことを言いたいならここではなくよそで自分で面白いことをやってくれってことなんですよ。ぼくは面白いものを読みたいので。よろしくお願いします。
 で、あえてこの内容に触れると、ノクターンのultってそんな衝突感なくないですか。遠くから来るってイメージはあるけど。あと、対象指定ultなので偶然街中でぶつかった感が薄く、遅刻遅刻〜とかいいながら走ってる女の子がぶつかりがちなスキルのチョイスとしてかなり微妙だと思うんです。もっと衝突感あるultにするべきなんじゃないですかね。サイオンとか。あと入れ替わりネタがやりたいなら、アーゴットとか。その辺の練りが甘いですね。以上です。



・骨格について
 女装しててめちゃくちゃ美人の人とかいるじゃないですか。それ見て、「男だってわかるよ。だって骨格が全然違う」とか言う人がいて、おいマジかよ世の中の人間はそんなにちゃんと相手の骨格まで見て世の中生きてんのかと思ったのを覚えています。
 あとちょっと関係ないんですけど、誰かが坊主刈りにしてくるとどんな集団に属していても「でも頭の形綺麗じゃん」っていい出す奴が必ず一人はいて、なんなんだこれ人類全体にかけられた呪いかよと思ったのを思い出しました。あとジョリッジョリの坊主刈りにすると女の子がめっちゃ触りたがりますよね。あれもなんなんだろうね。
 閑話休題、骨格を意識してる人って美しいですよね。所作、立ち振る舞いを意識していて、歩き方とかからしてまず「骨盤を前傾させろ」とか。なんだよ骨盤を前傾させろって。どこで習うんだ。骨盤を前傾させようと思ったことなんて生きてて二回くらいしかないよ。でも、実際骨格を意識した歩き方座り方立ち方をすると、めちゃくちゃ綺麗に見えるし、同時に今まで自分が意識してなかった骨格の歪みを痛烈に突きつけられ、この歪みはお前が骨格を無視して漫然と立ったり座ったりしてきた証で、取り戻すのには永劫の時が必要なのだ果たしてお前は美しい姿勢を取り戻せるかな? みたいに言われてる気がして、悲しい気持ちになります。

・クレーターについて
 月のクレーターに静かの海って名前つけたやつ、詩的すぎる。詩的でないやつは宇宙になんか行かないという話もある。

その他についてその2(杉、株、愛)

・杉について

 お前らの乱行パーティに巻き込まれておれたちは大変迷惑している。本当に迷惑なんだ。本当に。本当に。
 しかし花粉症の人間が反応しているのは純粋な花粉ではなく、排気ガスによって汚染された花粉だという話をどこかで聞いたような記憶もあり、あまり花粉に対して強い態度を取れなくなっちゃってるんだけど、ユッコどうしよ、あたしもうどうしたらぃぃかゎかんなぃょ……



・株について

 昔、おれが木材関係の職場にいた頃、木材の質を確かめるために直接資材置き場に向かわされることになった。
 取引先は、正直に言えばまあまあ巨大な会社(一部上場)で、おれたちはそこの余った端材を買い取りに行ったのだ。
 それでなぜおれが直接資材置き場に向かわなくてはならないのかはわからないのだが(おそらくは課長の嫌がらせだろう)、ともあれおれは取引先の図弁さんに連れられて山の中に入ったのだった。

「なんでこんな山奥に資材置き場があるんですか」
「うん? 資材置き場? ああ、君はそう聞かされてるんだ」

 何やら不穏な台詞を吐いた図弁さんは、眼鏡の奥で濁った瞳をぎらつかせていた。

「ほら、ここだとさ、変な目がないでしょう? 取引にうってつけなんだよね。秘密のさ」

 そう言って図弁さんは懐から拳銃を取り出して、おれに突きつけてきた。

「例の書類を持ってくるはずだったはずだ。それを、こんな何も知らない素人をよこされたんじゃ仕事にならん。騙して悪いが、仕事なんでな。『なかったこと』にさせてもらうよ」

 おれは目の前の冴えないおっさんが何を言っているのかわからなくて、しかしただただ当たり前に突きつけられる殺意の形に、すっかり怯えきって、膝の力を失い、その場に座り込んでしまった。

「だが安心しな。すぐ楽にしてや

 それが良かった。
 図弁さんは突然横から殴りつけられて木にぶつかると、そのまま動かなくなった。木は朱く染まっていた。おれは、頭の上をものすごい速さで何かが通り過ぎるのを感じていた。クマだ。クマの腕が、図弁さんを叩き潰していた。おれはただ、図弁さんのことを見つめていた。朱色に染まった木。木が、朱色に染まって。木、朱色。木朱。株。



・愛について

 好きなもののことを話している人の表情って、何よりも輝いていますよね。お互いのことを好きな二人が、お互いのことを話していると、それはつまり二人で無限に輝き続けるわけで、そういうのはいいよなあと思うわけです。

 まあそういうものはそういうものでいいんですけど、別に愛というものが美しくて素晴らしいものであるとは限りません、なんて言いますよね。歪んだ愛とかよく言いますが、ああいうものは、愛と愛以外のものが混じり合ってしまってああいう色になってしまっているわけで、基本的には愛というものはどこにあるものもあんまり変わらないのかなと思っています。
 愛というのは、まあ激情の一つで、感情の激しいやつなんですけど、感情って、勝手に纏まって一つになろうとする性質があるんですね。それは、人間が同時に二つ以上の感情を抱えておくことができないため、勝手に混ぜて新しい感情を作り出してしまうからなんですけど、愛が混ざってると、なんでも愛呼ばわりされてしまっている気がします。憧憬と愛が混ざったもの、独占欲と愛が混ざったもの、現実逃避と愛が混ざったもの。そういうものも愛の一つの相である、みたいな言われ方をする度に、いやそれ別のものじゃんと思っています。
 感情が纏まってしまうこと、それ自体はまあ別にいいんですけど、それを自覚していないと、感情を解きほぐして解決しなければならない時に、困ってしまうんですよね。本当に問題にしなくてはならないのは、愛に混ざっている独占欲のほうだったりするのに、愛を肯定する/否定する方向に話が進んでしまったりだとか。

 まあ元々激情ですから、一瞬燃え上がるように膨れ上がるもので、その本人が冷静に受け止められるようなものではないというのもそうですけど、誤解されがちでかわいそうだなと思います。
 自分の本心を知ることは難しいですね。

その他について(かつおぶし、茶釜、手水場)

・かつおぶしについて


 おぶしに勝つために作られた決戦兵器。現存するほぼ全てのおぶしに9:1のダイアグラムをつける。極めて強力でありながら、重さを極限まで削っており、まさにおぶしに勝つためのチューニングが施されている。

 おぶし以外に対しては別に強くはないので、総じて弱キャラという評価だが、強〜壊れに位置するおぶしにほぼ確実に勝てるということで採用されることは大いにあり得るだろう。




・茶釜について


 茶釜って二回くらいしか見たことないんですけど、茶道の人しか使いませんよねあれ。なんであんなものにたぬきが潜んでいると昔の人は思ったんですかね。だいたいなんですかぶんぶく茶釜のぶんぶくって。たぬきはぶんぶく鳴かねえよ。茶釜ももちろんぶんぶく鳴かない。ではぶんぶく茶釜とは何がぶんぶくなのか。このぶんぶくとは幻術なのではないか。幻術、すなわちたぬき。




・手水場について


 ぼくああいう作法みたいなの結構好きで毎回守って左手洗って右手洗って左手に水入れて口に含んで吐いて左手洗って柄を洗って終わりみたいなのやるんですけど、あの柄杓とか水が出てくるとこ、どうみてもめちゃくちゃきたねえなと思うことあるじゃないですか。でも直前にその辺で海鮮丼とかいうハチャメチャに生臭もの食ってるし口ゆすいで清めないと神様にコラッて怒られるしどうしよう、みたいになった時ってどうすればいいんですかね? まあぼくは口ゆすぐんですけど。

嘘について

 嘘のことを話す時、ぼくは饒舌になる。

 これは「真実でないことを話す時、誤魔化そうとしていろいろ喋ってしまう」ということではない。嘘についていろいろ言いたいことがあるということだ。

 もちろんそれは嘘で、嘘について話したいことなんか特にはない。当然それも嘘で、嘘について話したいことは少しだけしかない。この文章は嘘っぱちであり、もちろんこれも嘘八百である。

 そろそろ真面目に話をしよう。嘘つきと不真面目は違う。


 嘘の中でも一番明らかになりにくいものは、自己言及的な嘘だ。

 自分はこういう人間です、という発言が嘘なのか本当なのかは、大抵はわからない。内心を推し量ることは誰にもできないし、できないのにも関わらず無理やりそれっぽいものをでっち上げたとしても、そもそもそれを本人にぶつけてどうなるものでもないからである。「私のことは私が一番よく知っている」と言われたら、そうですかと答えるしかない。


 もちろんこれは嘘で、私のことを一番よく知っているのが私なはずはない。お前の目が身体の前についていることは明らかで、目が前についている以上お前が見ることができる範囲は身体の表側だけで、裏側まで見れる第三者の方がお前についてよりよく知っていると言えるからだ。これは高度な比喩表現であり、本当に目が前についているかどうかは関係がない。岡目八目。それでいいじゃないか。

 自己言及的な嘘をなぜついてしまうのか。

 これはまあ、大抵は、自己防衛の為である。直接認めてしまったら、重圧でぶっ潰れて死んでしまうような物事から目を逸らしてなかったことにした結果生じた齟齬を、無理やり埋めるために嘘は用いられる。嘘というのは大抵が短期的な一時しのぎなので、全体のバランスを見ている人からすると恐らく、語るまでもなくバレバレなのだろうな、と思う。

 いっそバレてくれ、と思って嘘を繰り返す人もいる。そういう人は、これは自分でも自分の本心というやつがわからなくなっているのだ。自分の代わりに『きみの本心』はこれだよ、と規定してくれる人を探している。そういうことから目を背けているから、私は気分屋なの、とか私は嘘つきなの、みたいなどうでもいい嘘をつくことになる。いちいち自分の抱えている矛盾を説明するのに、新しい嘘をこさえる人間が嘘つきなものか。嘘つきはもっとテキトーに、何も考えないで嘘をつく。


 自分にとって何が嘘で何が嘘でないのか、これは自明のように扱われていて、誰も教えてはくれないのだが、恐らく世の中の九割の人間は正しく線引きしようとさえしていない。嘘を飼い、慣らし、嘘を使えるようにならなくてはならない。それがすなわち、素直に生きるということなのだから。

 

鉄屑について

 鉄屑は良い。ぼくは鉄屑が大好きだ。

 金物工場などの近くには大抵ドラム缶が積んであり、その中には金属製の端材、ぐるんぐるんにねじれて縦ロールみたいになった鉄屑がたくさん入っている。そういう鉄屑の中からお気に入りの鉄屑を選び出しては、これは伝説の海中帝国が創り出したオーパーツなのだ、などといった逸話をくっつけてその辺に埋めて、掘り戻して遊んでいたものだった。


 そんなぼくだが、別に特別ロボットものが好きというわけではない。昔は狂ったような鉄ヲタだったらしいが、5歳のとき車にぶつかって強く頭を打って以来、電車にまるで興味を持たなくなったらしい。ただ、アーマードコアは好きだった。敵を鉄屑に変えることが好きだったわけではない。ぼくはロボを駆り、空を飛ぶことが好きだったのだ。


 果たしてぼくは、空を飛んだ。アーマードコア4……PS3XBOX360で発売されたゲームだ。当時の次世代機初のアーマードコアシリーズの発売に、別にぼくはさほど興奮したりはしなかった。ただ、まあいつものアーマードコアだし買っとくか。そう思った。しかし4は、アーマードコア4は、いつものアーマードコアではなかった。

 泥臭く、カエルのようにピョンピョコ小ジャンプを繰り返す移動がアーマードコアの世界では良しとされていた。移動方向が直線にならないため、敵の射撃武器を躱しやすいからだ。つまるところ回避行動とは、敵のお粗末なロックオン機能の穴を突くような動きをどれだけ連続できるか、といった受け身的なものであった。4は違った。クイックブーストボタンというとびきりクレイジーなそのトリガーを引くと、機体はハンマーでぶん殴られたようにものすごい加速で移動した。「見てから回避余裕でした」。敵の射撃を見てから避けられる。こんなすごいゲームが世の中にあったか?

 アーマードコア4はシナリオも素晴らしかった。アーマードコアシリーズを遊んできたぼくは、言ってみれば老兵のようなものだった。そしてアーマードコア4の主人公は、伝説の古兵。旧世代兵器で無敵の男が、新世代の兵器に蹂躙され、敗北し、新たに新世代の兵器に適応しようとするストーリーだった。それはまさしく、旧シリーズから、アーマードコア4に適応しようとするぼく自身と重なった。ぼくは震えた。


 気が狂ったようにのめり込んだ。己のイメージと、実際の動きをアジャストするため、何度も同じような動きを繰り返した。同じミッションを続けてプレイし、同じ敵を鉄屑に変え続けた。意のままに動くゲーム内の機体は、まさしく自分の機体だった。ぼくの機体。ぼくの鉄。ぼくは時速2000km/hで空を駆け、鉄屑を生みまくった。お前たちは全員鉄屑だ。鉄屑でなければラグアーマーだ。I'm thinker I could break it down〜


 時は流れ、アーマードコアV(ファイブ)では、操作感覚がまたも一新されてしまった。ぼくは空を飛べなくなり、鉄屑を生む側から鉄屑になる側になって、コントローラーを床に置いた。

 鉄屑という文字を見ると、そんなことを思い出す。

まえがきにかえて

#0000000


「さて」

 さてと呟くところから物語は始まる。始まることは予め定められており、目次にもそう書いてある。これは経験則だが、目次に書かれていることは大抵が真実で、嘘の書いてある目次に出会ったことがない。
 経験。それは誰のものなのか。そもそも、さてと呟いたのは誰であったのか。この文章には誰も、誰一人として存在していない。しかし誰かがさてと呟いている。故に、辻褄を合わせるためには、新しく誰かを存在させなければならない。
 なに、簡単なことだ。
 そんなもの、ちょっと書き加えてやればいいだけの話なのだからね。



#0000001

「さて」

 さてと呟くところから物語は始まる。始まることは予め定められており、目次にもそう書いてある。

「とはいえ」

 ここには僕しか存在しないので、発話する必要はないのだけれど。必要がなければ能力というのは発展しない。必要とされているからこそ成長し、その先へと進んでゆくのだ。必要でないものはどこにも辿り着かない。例えばこうした一人語りとか。
 別にどこかに辿り着きたいわけではないけれど、きっとこれは僕の生まれた根幹に関わる問題に触れるその衝撃を少しでも隠そうとする、いじましい前置きであるけれど、一人で話していても全く面白くないだろう。
 神は言った。面白くあれ。
 かくてアダムは自らの肋骨を引き抜き、捏ねて、新しく伴侶を創り出す。
 引き抜いたところが痛むので、なるべく優しく、傷に響かないような彼女を。



#0000002

「さて」

 さてと呟くところから物語は始まる。始まることは予め定められており、目次にもそう書いてある。

「目次? なんの話?」
「つまり、この世界の成り立ちについて説明しようと思って」
「この世界?」

 彼女は首を傾げる。

「ここには何もないじゃん」

 一面の白く広がる世界を見渡して、彼女はそれから僕を見た。
 つまりそれは、控えめな命令に他ならない。
 彼女は僕に言っているのだ。
 創れ、と。

「うーん」

 それはいくらなんでも、途方がなさすぎるんじゃないですかね。