嘘のことを話す時、ぼくは饒舌になる。 これは「真実でないことを話す時、誤魔化そうとしていろいろ喋ってしまう」ということではない。嘘についていろいろ言いたいことがあるということだ。 もちろんそれは嘘で、嘘について話したいことなんか特にはない。…

鉄屑は良い。ぼくは鉄屑が大好きだ。 金物工場などの近くには大抵ドラム缶が積んであり、その中には金属製の端材、ぐるんぐるんにねじれて縦ロールみたいになった鉄屑がたくさん入っている。そういう鉄屑の中からお気に入りの鉄屑を選び出しては、これは伝説…

#0000000「さて」 さてと呟くところから物語は始まる。始まることは予め定められており、目次にもそう書いてある。これは経験則だが、目次に書かれていることは大抵が真実で、嘘の書いてある目次に出会ったことがない。 経験。それは誰のものなのか。そもそ…