読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

たぬきの木屑ブログ

なんでも書くたぬ

その他についてその2(杉、株、愛)

・杉について

 お前らの乱行パーティに巻き込まれておれたちは大変迷惑している。本当に迷惑なんだ。本当に。本当に。
 しかし花粉症の人間が反応しているのは純粋な花粉ではなく、排気ガスによって汚染された花粉だという話をどこかで聞いたような記憶もあり、あまり花粉に対して強い態度を取れなくなっちゃってるんだけど、ユッコどうしよ、あたしもうどうしたらぃぃかゎかんなぃょ……



・株について

 昔、おれが木材関係の職場にいた頃、木材の質を確かめるために直接資材置き場に向かわされることになった。
 取引先は、正直に言えばまあまあ巨大な会社(一部上場)で、おれたちはそこの余った端材を買い取りに行ったのだ。
 それでなぜおれが直接資材置き場に向かわなくてはならないのかはわからないのだが(おそらくは課長の嫌がらせだろう)、ともあれおれは取引先の図弁さんに連れられて山の中に入ったのだった。

「なんでこんな山奥に資材置き場があるんですか」
「うん? 資材置き場? ああ、君はそう聞かされてるんだ」

 何やら不穏な台詞を吐いた図弁さんは、眼鏡の奥で濁った瞳をぎらつかせていた。

「ほら、ここだとさ、変な目がないでしょう? 取引にうってつけなんだよね。秘密のさ」

 そう言って図弁さんは懐から拳銃を取り出して、おれに突きつけてきた。

「例の書類を持ってくるはずだったはずだ。それを、こんな何も知らない素人をよこされたんじゃ仕事にならん。騙して悪いが、仕事なんでな。『なかったこと』にさせてもらうよ」

 おれは目の前の冴えないおっさんが何を言っているのかわからなくて、しかしただただ当たり前に突きつけられる殺意の形に、すっかり怯えきって、膝の力を失い、その場に座り込んでしまった。

「だが安心しな。すぐ楽にしてや

 それが良かった。
 図弁さんは突然横から殴りつけられて木にぶつかると、そのまま動かなくなった。木は朱く染まっていた。おれは、頭の上をものすごい速さで何かが通り過ぎるのを感じていた。クマだ。クマの腕が、図弁さんを叩き潰していた。おれはただ、図弁さんのことを見つめていた。朱色に染まった木。木が、朱色に染まって。木、朱色。木朱。株。



・愛について

 好きなもののことを話している人の表情って、何よりも輝いていますよね。お互いのことを好きな二人が、お互いのことを話していると、それはつまり二人で無限に輝き続けるわけで、そういうのはいいよなあと思うわけです。

 まあそういうものはそういうものでいいんですけど、別に愛というものが美しくて素晴らしいものであるとは限りません、なんて言いますよね。歪んだ愛とかよく言いますが、ああいうものは、愛と愛以外のものが混じり合ってしまってああいう色になってしまっているわけで、基本的には愛というものはどこにあるものもあんまり変わらないのかなと思っています。
 愛というのは、まあ激情の一つで、感情の激しいやつなんですけど、感情って、勝手に纏まって一つになろうとする性質があるんですね。それは、人間が同時に二つ以上の感情を抱えておくことができないため、勝手に混ぜて新しい感情を作り出してしまうからなんですけど、愛が混ざってると、なんでも愛呼ばわりされてしまっている気がします。憧憬と愛が混ざったもの、独占欲と愛が混ざったもの、現実逃避と愛が混ざったもの。そういうものも愛の一つの相である、みたいな言われ方をする度に、いやそれ別のものじゃんと思っています。
 感情が纏まってしまうこと、それ自体はまあ別にいいんですけど、それを自覚していないと、感情を解きほぐして解決しなければならない時に、困ってしまうんですよね。本当に問題にしなくてはならないのは、愛に混ざっている独占欲のほうだったりするのに、愛を肯定する/否定する方向に話が進んでしまったりだとか。

 まあ元々激情ですから、一瞬燃え上がるように膨れ上がるもので、その本人が冷静に受け止められるようなものではないというのもそうですけど、誤解されがちでかわいそうだなと思います。
 自分の本心を知ることは難しいですね。